MRIが怖い人へ|「閉所恐怖症ぎみ」な人が知らない3つのこと

 

◎ MRIが怖い人へ|「閉所恐怖症ぎみ」な人が知らない3つのこと


「あの狭い筒に入るなんて、絶対無理です」 ……現場でよくいただくお言葉です。少し待ってください。

実は、MRI検査で「怖い」と感じる方は決して珍しくありません。そしてその多くの方が、検査後には「思ったよりよかった」とおっしゃいます。怖さの正体を知ること、そして技師に一言伝えること——それが最初の一歩です。


1. 「怖い」の正体を分解する

MRIへの恐怖は、だいたい3つに分類できます。

① 閉所への恐怖

筒の中に入ること自体がつらい、というタイプ。これが最も多い。実際の開口部は直径約60〜70cmほどあり、人がすっぽり入れる大きさです。ただし、頭部の検査では頭が筒の中心付近まで入るため、圧迫感を強く感じやすい。

② 音への恐怖

MRIは撮影中、「ガンガン」「ドドド」という大きな音が断続的に鳴り続けます。これは故障でも異常でもなく、磁場を変化させるコイルが振動しているだけです。ヘッドフォンや耳栓で対応できますし、音楽を流している施設も増えています。

③ 「動いてはいけない」プレッシャー

「じっとしていなければ」と意識するほど、体が強張り、息が詰まる。これは真面目な方ほど陥りやすい罠です。

MRIの怖さは「未知への恐怖」がほとんど。正体を知るだけで、半分は消えます。


2. 現場の技師が実際にやっている「一番効く対応」

1000件以上の検査を担当してきた私が、閉所が苦手な患者さんに対して最も効果を感じているのは、時間の経過を伝え続けること、ただ一つです。

MRIは撮影中、大きな音が鳴り続けます。技師が声をかけられるのは、音と音の合間——シーケンスとシーケンスの切れ目だけです。撮影中に「今どのくらいですか」と聞かれても、すぐに答えられないことがあります。

だからこそ、検査が始まる前に「途中で進み具合を教えてください」とお願いしておくのが正解です。そうすれば技師は音が止まるたびに「今、半分終わりました」「あと1回です」と声をかけることができます。

「終わりが見えない暗闇の中にいる感覚」——これがMRIの怖さの本質です。終わりが見えれば、人はもう少し頑張れます。

検査前の一言「途中で進捗を教えてください」が、あなたの20分を変えます。


3. それでも「無理」なら、それは正しい判断です

ここだけは、はっきり言わせてください。

残酷な現実を言います。「少し不安」な方と「本当の閉所恐怖症」の方は、まったく別物です。

「少し不安」な方には、「とりあえずやってみて、ダメならやめましょう」で十分です。実際、その声がけで大半の方はなんとか最後まで検査を終えられます。

しかし、本当の閉所恐怖症の方は違います。筒に入った瞬間、体が拒否反応を示します。頑張ろうとして、いざ撮影を始めようとした瞬間に飛び出してきてしまう——そういう方を、私は何人も見てきました。これは根性や心構えでどうにかなるものではありません。

そういう方には、鎮静剤の使用や、開放型MRI(筒ではなく上下から挟むタイプ)という選択肢があります。主治医や検査スタッフに遠慮なく相談してください。「無理です」と伝えることは、迷惑ではなく、正しい判断です。

「できそうなら、やってみましょう」と言える人と、「最初から別の方法を選ぶ」べき人がいる。その見極めも、技師の仕事です。


……なんて偉そうに書きましたが、「やっぱり無理でした」と苦笑いで出てくる患者さんに、うまい言葉が見つからないまま見送ることもある、冴えない技師の独り言です(笑)。 明日もまた、検査前の一言でその方の20分が変わると信じて、声をかけ続けます。

コメント

人気の投稿