放射線技師の仕事はAIに奪われるのか?|「知能」と「身体」を分けて考える
◎ 放射線技師の仕事はAIに奪われるのか?|「知能」と「身体」を分けて考える
「AIに奪われる職種100!」 ……つり革広告でよく見かけるフレーズです。10年前からずっと言われています。
正直なところ、私の答えは「今のところはない。ただしフェーズによる」です。曖昧に聞こえるかもしれませんが、これが一番正確な答えだと思っています。
1. 「AIに奪われるか」を2つに分けて考える
この議論、多くの人が「AI」と「ロボット」を一緒に語ってしまっています。
私はこれを分けて考えるべきだと思っています。
- 知能の部分:画像を見て判断する、患者の状態を理解する
- 身体の部分:実際に患者を支える、体位を変える、機器を操作する
放射線技師の仕事は、この両方が組み合わさっています。だから「AIに奪われるか」という問いには、知能の話なのか、身体の話なのかを分けて答える必要があります。
2. 知能の部分は、近づいてきていると思う
患者さんが予期せず動く、画像が揺れる、体調が変化する——こういった状況への対応は、今は技師の経験と判断でやっています。
ただこれ、技術的には近づいてきていると感じます。
撮影中の画像認識と、患者さんの状態を映すモニタリング画像を組み合わせる。そこに電子カルテの情報も複合して学習させる。これらを組み合わせれば、「この患者さんは今こういう状態だから、こう対応すべき」という判断を、AIが学習していく未来は十分にあり得ると思っています。
知能の側面は、思っているより早く近づいてくる可能性があります。
3. 身体の部分は、まだ時間がかかると見ている
一方で、実際に患者さんの体を支える、体位を変える、針を刺す——こういった肉体労働的な側面は別の話です。
AIが「こう対応すべき」と判断できたとしても、それをロボットが実際に体で実行できるかは別の技術領域です。ロボット工学がAIの判断を物理的な動きに変換するレベルに到達するには、まだ時間がかかると見ています。
正直に言うと、私はロボット工学の専門家ではないので、ここは「詳しくないから慎重に見ている」というのが本当のところです。専門家から見れば、私の見立てが甘いのか、逆に楽観的すぎるのか、わかりません。ただ、知能と身体は別の技術だという前提で考えると、「AIに奪われる」と一言で語るのは雑すぎると思っています。
「AIに奪われるか」という問いは、「いつ、どの部分が」という問いに分解しないと、答えにならない。
4. つり革広告に煽られる必要はない
「AIに奪われる職種100」のような広告は、不安を煽ることで何かを売るためのものです。技師の仕事がどう変わっていくかは、もっと地味で、もっと段階的な話です。
知能の部分は思ったより早く進むかもしれない。身体の部分はもう少し時間がかかるかもしれない。どちらに備えるべきかを考えることの方が、煽り広告に怯えるより建設的です。
……つり革広告を見るたびに「お前らもAIに仕事奪われるけどな」と思っている、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、AIがまだ追いついていない部分を、自分の手と判断で支えます。


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