CT造影剤の血管外漏出を防ぐ!注入圧の適正設定と注意点

◎ インジェクターと注入圧、限界はどこにあるのか|非耐圧ルートが破裂する境界線

造影剤を入れると、ときどきチューブが破裂する。かと思えば、同じような条件でも何ともないときがある。

この違いは何なのか。それと、病棟から持ってきた普通の点滴ルートで造影ができれば、わざわざ耐圧ルートを用意しなくて済むのに——そんな疑問と願いから、実際に非耐圧ルートが何PSIで破裂するのか、職場で実験したことがある。






1. 圧力の正体——流れているときは、壁に力がかからない

まず前提として、圧力がどう働くかを整理しておきたい。

人が手でシリンジを押す力は、だいたい60PSI程度と言われている。輸液ポンプの限界圧力も60〜70PSIほどだ。インジェクターの設定を200PSIにしていたとしても、造影剤がスムーズに流れている限り、その圧力がそのまま血管壁にかかっているわけではない。

問題は、流れが止まったときだ。腕が曲がっている、衣服で圧迫されている、三方活栓を閉め忘れている——こうした閉塞が起きると、シリンジの圧力がそのまま血管やチューブに直接かかることになる。破裂や漏出の正体は、ここにある。


2. 思わぬ場所から漏れることがある

造影剤が漏れるとき、穿刺した場所とは別の、過去の採血跡のようなところから漏れることがある。

これは、穿刺部より心臓側で血管が圧迫され、血管の中が逃げ場のない「密閉された高圧の回路」になってしまうためだ。圧力の逃げ場がなくなると、血管の中で一番弱い場所が破れる。それが必ずしも針を刺した場所とは限らない。


3. 実際に破裂させてみた

以前、非耐圧ルートが何PSIで破裂するのか、職場で実験したことがある。

活栓を閉じた閉鎖状態を作り、圧力をかけていく。結果、チューブは140PSI付近で破裂した。

つまり、インジェクターの限界設定を150PSI以上にしていると、万が一閉塞が起きたときに、非耐圧ルートは確実に弾ける計算になる。


4. 安全のためにやっていること

この実験を踏まえて、うちでは次のような運用にしている。

  • 限界圧力は60〜70PSI:手で押す力と同じ範囲に抑えることで、閉塞時のリスクを下げる
  • ルートの屈曲や圧迫を解除する:閉塞そのものを起こさない工夫
  • 注入圧の波形を監視する:普段の波形と比べて、異常があればすぐ気づけるようにする

数値を過信せず、腕の状態を都度確認すること。これが、事故を未然に防ぐための一番の基本だと思っている。



……破裂するときと大丈夫なときの違いが気になって実験までした結果、余計に慎重になった、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、波形を見ながら、腕の状態も一緒に確認します。

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