ダイナミック注入で何PSIかかるのか|黄色い針でやるなと言われる本当の理由

◎ ダイナミック注入で何PSIかかるのか|黄色い針でやるなと言われる本当の理由

「黄色の針ではダイナミックするな」

新人の頃、そう言われたことはないだろうか。理由まで説明されずに、決まりごととして覚えている人もいると思う。

答えはシンプルで、圧力がかかるからだ。ではどのくらいかかるのか、具体的な数値を出してみたい。




1. 実際に何PSIかかるのか

うちの環境での数値を挙げる。

チューブは根本杏林堂の1メートルのもの、造影剤はオムニパーク300を100ccシリンジで使用、血管は正中静脈に22G(ブルー針)で確保、秒3で注入した場合。このとき、だいたい70PSIになる。

同じ条件で造影剤だけをイオパミロン370の100ccに変更すると、だいたい130PSIまで上がる。

造影剤の濃度を変えただけで、圧力が倍近くになる。濃い造影剤ほどネバネバが強く、押すのに力が要るということが、数値としてはっきり出る。


2. なぜ細いと圧力が上がるのか

そもそも、なぜ針が細いと圧力が高くなるのか。

普通のストローと、タピオカ用の太いストローを想像してほしい。同じジュースを飲むとき、細いストローの方が明らかに吸うのに力が要る。同じ量を同じ速さで通そうとすると、通り道が狭いほど強い力が必要になる。針もこれと同じだ。

もう一つ、水撒きホースの例えも分かりやすい。細いホースで大量の水を流そうとすると、ホースがパンパンに張ってくる。そして張り詰めた結果、水が噴き出すのは、ホースの真ん中ではなく繋ぎ目からだ。

この「繋ぎ目から漏れる」という現象が、実際に造影剤の注入でも起きる。


3. 圧力がかかると、何が起きるのか

高い圧力がかかったとき、どこに影響が出るか。血管を心配する人が多いと思うが、それより先に問題になる場所がある。

針とチューブの接続部分だ。

24ゲージの針で留置した場合に、針とチューブの接続部から造影剤が漏れる経験をしたことはないだろうか。あれは血管が破綻したわけではなく、接続部が外れているケースがある。

黄色い針は長さが短いため、チューブのコネクタと接続しづらいことがある。接続、つまりねじ込みが緩いと、高い圧力に負けてコネクタが逆回転し、外れてしまう。


4. 実験してみた結果

実際に、どのくらいの圧力で外れるのか実験したことがある。

普通に固定した状態では、90PSI程度で外れた。

その後、意識してしっかり接続し直して再度実験したが、それでもだんだんコネクタが逆回転していき、180PSI近辺で外れた。

つまり、どれだけしっかり接続しても、圧力が高ければいずれ外れる。接続の丁寧さで多少粘れるが、根本的な解決にはならない。


5. だから22Gや20Gを使う

ここまで来れば、なぜダイナミックのときに22Gや20Gで留置するのかが見えてくる。

**そもそも高い圧力をかけずに済むようにするためだ。**針が太ければ、同じ注入速度でも圧力は低く抑えられる。接続部が外れるリスクも下がる。

「黄色い針ではダイナミックするな」というのは、経験則としての決まりごとではなく、圧力という物理的な理由に基づいた話だった。

理由を知っていると、決まりごとが単なるルールではなく、判断の材料になる。


……「なんで22Gなんですか」と聞かれたときに、数字で答えられるようになるまで時間がかかった、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、圧力のことを頭の片隅に置きながら、ルートを確認します。

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