顔面の骨折はこう撮る(撮ってた???)|消えゆく撮影法の記録
◎ 顔面の骨折はこう撮る(撮ってた???)|消えゆく撮影法の記録
「頬骨が折れていそうなので、こう撮ってください」 ……10年くらい前まで、これは普通に行われていた撮影法でした。今はほとんど見かけません。
私の勤めるような規模の病院では、CTが高性能になり、近年撮影されなくなってきた検査がいくつかあります。これもその一つです。今日は、消えていった撮影法の記録として残しておきます。
1. 昔の撮影法——首を後屈させて顎を上げる
頬骨骨折を疑う患者さんに対して、昔はレントゲンでこんな体位を作っていました。
仰向けに寝てもらい、首を後屈させて、顎を上に上げる。この体位で撮影すると、頬骨の領域がうまく投影される角度になります。
ただ、これがなかなか無理のある体位です。患者さんは顔が痛くて来ているのに、首を反らせて顎を突き出すような姿勢を取らせる。撮影する側もそう思っていました。「顔が痛いのに、あんなポーズをさせるのはおかしい」と。お年寄りなんて特に。。
2. なぜCTに切り替わったのか
CTに取って代わられた理由は、いくつかあります。
①顔面の損傷は頬骨だけではない
顔面を強くぶつけた患者さんは、頬骨だけでなく頭部外傷や眼窩(目の周りの骨)の損傷を合併していることがあります。レントゲンでは頬骨が折れているかどうかしかわかりません。CTなら、頭部や眼窩を含めて一度に確認できます。
②患者さんへの負担が少ない
CTなら、痛い体勢を作らせる必要がありません。寝ているだけで撮影が終わります。痛みを抱えた患者さんに無理なポジショニングを強いる必要がなくなったのは、大きな進歩です。
3. 「撮ってた?」と聞かれる時代に
今、若い技師にこの撮影法の話をすると、「そんな撮り方、したことないです」と言われることがあります。
10年前は当たり前だった技術が、今はもう現場から消えている。これは技術の進歩であり、患者さんにとっても良い変化です。ただ、こうした撮影法の記録は、誰かが書き留めておかないと、そのまま忘れられていくものだと思います。
消えていく技術にも、それが標準だった時代の合理性がありました。記録として残す価値はあります。
……「顔が痛いのに、あんなポーズしろって酷だよな」と当時から思っていた、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、消えていく技術と、新しく生まれる技術の両方を見ながら、検査室に向き合います。


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