造影剤を入れると体が熱くなるのはなぜか?|浸透圧の話、ちゃんと説明できますか

◎ 造影剤を入れると体が熱くなるのはなぜか?|浸透圧の話、ちゃんと説明できますか

「造影剤を入れると体が熱くなりますよ」 ……検査前にこう声をかけるのは、もう当たり前の一言になっている。でも「なぜ熱くなるのか」と聞かれて、ちゃんと答えられるだろうか。





1. 「血管が拡張するから」——でもそれだけでは足りない

ナースに「造影剤を入れると体が熱くなるのはなぜですか」と聞かれたことがある。「血管が拡張するかららしいよ」と答えたら、こう返ってきた。

「静脈から入れるから、その静脈が拡張するの?」 「血管が膨らむほど高速に注入してるってこと?」

これ、どちらも違う。血管が拡張する理由は、注入速度でも静脈への直接的な圧力でもない。浸透圧の話だ。


2. 浸透圧で血管が拡張する仕組み

造影剤は濃度の高い水溶液だ。これが血管に入ると、周囲の細胞の中の水分が、造影剤を薄めようとして血管の中に移動してくる。

血管の中に水分が余分に入ってくれば、その分だけ血管は膨らむ。これが血管拡張の正体で、熱感につながる。注入の速さで血管が押し広げられているわけではなく、濃度差によって水が引き込まれることで内側から膨らむという現象だ。

だから、造影剤が濃いほどこの効果は大きくなる。


3. 高濃度・高速注入で体感が変わる

これは実際の現場でも体感として出てくる。

心臓CTのように、高濃度の造影剤を高速で注入する検査では、患者さんが「体が熱くなった」と言うときの声のトーンが、普通の濃度でゆっくり注入したときより明らかに大きい。浸透圧の影響がより強く出ているということだと考えられる。


4. 熱さの感じ方は、人によってかなり違う

同じ量、同じ速度で入れても、患者さんの反応はさまざまだ。「もう二度とやりたくない」という人もいれば、「気持ちよかった」と言い出す人もいる。

脳血管造影のように部位ごとに造影する検査では、左右別々に注入するため、右側だけ熱く感じる、左側だけ熱く感じる、ということも起きる。ただし正直に言うと、これは患者さんから聞いた話であって、自分自身が造影剤を打たれた経験があるわけではないので、感じ方の詳細までは断言できない。


5. 仕組みを知っておくことの意味

「熱くなりますよ」と伝えるだけなら、誰でもできる。ただ、なぜ熱くなるのかを説明できると、患者さんへの声かけにも説得力が出るし、後輩やナースに聞かれたときにも正しく答えられる。

熱感が出ることは事前にしっかり伝えて、患者さんが驚いて動いてしまわないようにする。動きの少ない画像を撮るための、地味だが大事な準備だと思っている。


……ナースに聞かれて答えに詰まった日から、ちゃんと調べ直した、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、「体が熱くなりますよ」の一言に、仕組みの説明を添えられるように向き合います。

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