レントゲンで「異常なし」でも骨折していることがある|CTでわかる理由
◎ レントゲンで「異常なし」でも骨折していることがある|CTでわかる理由
「レントゲンでは異常なしって言われたのに、後で骨折してるってわかったんです」 ……こういう話は、実は珍しくありません。
レントゲンは骨を見る基本の検査です。ただ、写りにくい骨折があるのも事実です。
1. レントゲンは「重なると見えにくい」
レントゲンは、体を通り抜けたX線を1枚の平面に写す検査です。この「平面に写す」というのが、弱点にもなります。
骨と骨、骨と臓器が重なっている場所では、見たいものがその陰に隠れてしまいます。重なりのない場所ならはっきり写るのですが、重なってしまうと途端に見えにくくなる。
代表的なのが下部の肋骨です。お腹の臓器と重なるため、折れていてもレントゲンでは分かりにくいことがあります。
ただ、正直に言うと、肋骨の骨折はCTで見つけたとしても、治療が変わらないことがほとんどです。肋骨はギプスで固定できる場所ではなく、安静にして痛み止めを使いながら、自然に治るのを待つのが基本だからです。だから「レントゲンで写らなかったから、必ずCTを撮るべき」というものでもありません。
2. ヒビくらいだと、写らないことがある
はっきりずれて折れていれば、レントゲンでも分かります。問題は、ヒビ程度の骨折です。
骨がずれずにヒビが入っただけの状態では、レントゲンにその線がうまく写らないことがあります。骨や臓器の重なりも加わると、なおさら見つけにくくなります。
3. CTなら、すぐわかる
CTは体を輪切りにして写す検査です。重なりがなくなるので、レントゲンでは隠れていた骨折がはっきり見えます。
下部肋骨の骨折も、ヒビ程度の骨折も、CTならすぐに分かることが多い。「レントゲンでわからなかったのに、CTを撮ったらわかった」というのは、この違いによるものです。
レントゲンが劣っているわけではありません。平面に写す検査と、輪切りにする検査の、得意不得意の違いです。
4. 「数日後に撮ったらわかった」のはなぜか
最初のレントゲンでは異常なしだったのに、数日後にもう一度撮ったら骨折が見つかる——こういうこともあります。
これは、時間が経つ間に体を動かしてしまい、わずかにずれた骨折部分が、かえって見やすくなるためだと考えられます。最初はぴったり合わさっていて見えなかったものが、動かすことで隙間ができて写るようになる、ということです。
だから、レントゲンで異常がなくても、痛みが続くようなら再受診が大切です。「異常なしと言われたから大丈夫」と我慢し続けないでください。
5. 「一回で見つからない」のは、失敗ではない
以前、うちの医師がこんなことを言っていました。医療は失敗の積み重ねだ、と。
一回撮って写らなかった。だから次に受診したときに見つかる。ある薬を使ってみて効かなかった。だから次の薬を試す。その繰り返しの先に、診断や治療がある——そういう意味です。
最初のレントゲンで骨折が見つからなかったことを、「見逃された」と感じるかもしれません。でもそれは、診断にたどり着くまでの過程の一部でもあります。一度で完璧に分かることばかりではない。だからこそ、症状が続くなら次につなげることが大切なのです。
6. 痛みが続くなら、伝えてください
レントゲンで異常なしと言われても、痛みが引かない、むしろ強くなる——そんなときは、遠慮せず医師に伝えてください。
CTで詳しく調べることで、レントゲンでは見えなかった骨折が見つかることがあります。検査の結果と、自分の体の感覚、両方を大切にしてください。
……「異常なしって言われたのに」と不安そうに再来する患者さんを見るたびに、最初の1枚で見つけてあげたかったと思う、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、重なりの向こうに何かないか、目を凝らして向き合います。


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