11月8日はレントゲンの日、毎年こっそり手を合わせている理由

◎ 11月8日はレントゲンの日、毎年こっそり手を合わせている理由

「レントゲンって、機械の名前じゃないの?」

……そう思っている方も、きっと多いと思います。

実はレントゲンは、人の名前です。そして11月8日は、そのレントゲン博士がエックス線を見つけた日。現場で誰かに聞かれたことは一度もありませんが、私にとっては毎年ちょっと特別な日です。




1. レントゲンは、人の名前

① 1895年11月8日、ドイツで

ドイツの物理学者、ヴィルヘルム・レントゲン博士が、真空の管に電気を流す実験をしていました。管は黒い紙で覆っていたのに、離れたところに置いてあった蛍光板が光った。目に見えない何かが、紙を通り抜けて飛んでいたのです。

② 正体が分からないから、「X」

博士は、この正体の分からないものを「エックス線」と名付けました。数学で、分からない数をxと置くのと同じです。日本では、見つけた人の名前をとって「レントゲン」と呼ぶほうが広まりました。


2. 最初の有名な1枚は、奥さんの手

博士は、奥さんの手を写しました。骨と、指にはめた指輪がくっきり写った1枚です。

生きている人の体の中が、切らずに見える。今では当たり前のことですが、当時の人にとっては信じられないことだったはずです。


3. 特許を取らなかった

① だから、あっという間に広がった

博士は、エックス線で特許を取りませんでした。誰でも自由に使えたので、発見から間もなく、世界中で病院の検査に使われるようになりました。

② 第1回のノーベル物理学賞

1901年、博士は第1回のノーベル物理学賞を受けています。


4. 毎年、朝に手を合わせている

レントゲンの日には、毎年、朝にレントゲン博士に向かって、心の中で手を合わせています(誰にも言っていません)。

撮影の仕事をしていると、エックス線は毎日の道具です。でも、130年前に一人の博士が見つけて、それを独り占めしなかったから、今の仕事があります。

今日撮るあの1枚は、130年前の11月8日から続いています。

11月8日は、国際放射線医学の日でもあります。2012年に海外の放射線の学会が始めたもので、日本医学放射線学会も参加しています。

もう一つ、学生のころに気づいたことがあります。放射線の世界でいちばん有名な女性、マリー・キュリーは、1日前の11月7日生まれです。放射線概論の授業でそれを知って、「1日違いか」と思った記憶があります。

そのころは、ちょうど放射能の発見から100年で話題になっていました。1896年、レントゲン博士の発見のすぐあとに、フランスのベクレルが放射能を見つけています。私も展示会に足を運んだ記憶があります。「放射能」という言葉を作ったのは、そのあとに研究を進めたキュリーです。


手を合わせるといっても朝の数秒なので、博士に届いているかは分かりません。 明日もまた、博士が見つけた光で撮影します。


参考

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