めんどくさい角度合わせは、AIにやらせよう
◎ めんどくさい角度合わせは、AIにやらせよう|傾いた頭部CTの話
「また傾いてる。角度、直さなきゃ……」 ……CT室でよく漏れるひとり言です。
頭部CTを撮ったあと、傾いた頭の断面をOMラインに合わせて作り直す。毎日のように繰り返している作業です。一件ずつは短くても、正直めんどくさい。この角度合わせを、AIが自動でやってくれる機能が出てきました。今日はその話です。
1. 傾いた頭部、毎日直していませんか
頭をまっすぐにして寝られない患者さんは、思っている以上に多いです。
背中が丸くなっていて、頭がどうしても傾いてしまう高齢の方。救急で運ばれてきて、頭を固定できない方。じっとしていられない方。きれいにまっすぐ撮れる人の方が、むしろ少ないくらいです。
傾いたまま撮った画像は、そのままでは左右で見え方が違ってしまいます。そこで撮影後に、OMラインに合わせて角度と範囲を手で調整し、断面を作り直します。なぜOMラインに合わせるのかは、以前の記事「CT検査の輪切りの仕方」で書きました。
一件あたりはわずかな作業でも、毎日何件もある。積み重なると、地味に効いてきます。
2. AIで角度合わせを自動化する機能が出てきた
先日、技師向けの会誌で、AIで頭部CTの断面を自動設定する機能の解説を読みました。
画像からAIがOMラインと体軸方向の傾きを自動で見つけ出し、断面を作り直してくれる。これまで技師が手でやっていた作業を、そのまま肩代わりしてくれるわけです。
同じ記事では、もともと胸部用だった動きの補正が、頭部や腹部にも広がったことも紹介されていました。人の手でやっていた細かな調整が、少しずつ装置の側に移ってきています。
3. 自動化のいいところ
① 時間が減る
一番分かりやすいのはこれです。毎日の角度合わせがなくなれば、その分だけ次の患者さんに手が回ります。救急が重なった夜には、この差は小さくありません。
② 角度のばらつきが減る
実は、こちらの方が大きいと思っています。
手で合わせる角度は、技師によって微妙に違います。同じ人が合わせても、日によって少しずれる。前回と今回で角度が違うと、医師が前の画像と見比べるときに、同じ高さの断面を探しにくくなります。
機械が毎回同じ基準で合わせれば、角度がそろう。 比較読影がしやすくなるのは、患者さんにとっても大きな利点です。
4. それでも人の確認が要る場面
もちろん、全部を任せきりにはできません。
手術で頭の骨の一部がない方や、頭の形に強い変形がある方。AIが目印を見つけにくい場面では、自動で作った断面がずれることもあり得ます。
AIが作るのは、あくまで下書きです。最後に画像を確定させるのは技師。そこは変わりません。それでも、ゼロから合わせるのと、出来上がったものを確認するのとでは、手間がまるで違います。
5. 次は体部にも
頭部でここまでできるなら、体部にも広げてほしい。これは現場の正直な希望です。
- 体が斜めに寝ている方の、冠状断や矢状断
- 側弯のある方の脊椎
- 肺の冠状断
どれも、今は手で角度を合わせ直しているものです。動き補正が胸部から頭部・腹部へ広がったように、角度合わせの自動化も、いずれ体部へ広がっていくのではないでしょうか。
毎日の小さな手作業こそ、自動化の効果が大きい。
……なんて偉そうに書きましたが、要するに「めんどくさいから機械にやってほしい」という話です(笑)。 明日もまた、傾いた頭と向き合いながら、角度を合わせます。



コメント
コメントを投稿