ガストログラフィンが足りない|イオパミロンを飲ませていいのか

 

◎ ガストログラフィンが足りない|イオパミロンを飲ませていいのか

「ガストログラフィン、あと何本残ってたっけ?」

……最近、透視室でよく聞く言葉です。

うちでも在庫が減ってきました。足りないなら似た薬で代わりにすればいい、と思うかもしれません。でもこの薬は、そう簡単に代わりがききません。



1. なぜ足りないのか

ガストログラフィンは、2026年4月から限定出荷が続いています。N-ニトロソ-メグルミンという不純物(ニトロソアミン類の一つ)が、製品から見つかったのがきっかけです。

製造元は出荷前の検査をしながら供給を続けています。それでも、医療機関が必要な量を手に入れられない状況です。7月には厚生労働省が製造元に増産などを求め、10月に入っても限定出荷は続いています。


2. バリウムでは代わりにならない

消化管の検査なら、バリウムがあるじゃないか。そう思う人もいるでしょう。

でも、ガストログラフィンを使う場面は、バリウムを使えない場面です。

① 漏れるかもしれないとき

手術のあとのつなぎ目から漏れていないか。胃や腸に穴が開いていないか。こういうときにバリウムが腸の外に漏れると、お腹の中に残って、ひどい炎症の原因になります。

② 詰まっているかもしれないとき

腸閉塞が疑われるときもそうです。バリウムは固まります。詰まりかけた腸の中で固まれば、かえって悪くします。

水に溶けて吸収されるガストログラフィンなら、漏れても詰まっても、バリウムのような心配はずっと少なくなります。だからこそ、代わりがききません。


3. まずい。でも、代わりの薬がない

ガストログラフィンを飲んだ患者さんからは、「まずい」とよく言われます。苦くて、飲みにくい薬です。

それでも、製造元のお知らせでも、保険で使える代わりの薬はないとされています。まずくても、これしかない薬が足りなくなっている。そこが今回の一番の問題です。


4. 「イオパミロンを飲ませる」はありか

そこで出てくるのが、イオパミロンなどの血管用の造影剤を、飲ませたり注腸に使ったりするやり方です。実際にそうしている病院もあります。

① 値段は思ったほど変わらない

イオパミロンは高い、というイメージがあります。ただ同じ量で比べると、1.5倍くらいです。値段のせいで使えない、というほどの差ではありません。

② 本当の問題は「適応外」

イオパミロンは、血管に入れる薬として国の承認を受けています。飲ませたり注腸したりする使い方は、承認された使い方ではありません。添付文書にない使い方なので、万一副作用が出たときに、国の副作用の救済制度の対象にならない場合があります。

③ 扱い方は病院によって違う

適応外の使い方をどう扱うかは、病院ごとに決めています。倫理委員会などの承認を取ってからホームページで患者さんに知らせる病院もあれば、医師が説明して同意をもらったうえで使う病院もあるでしょう。

大事なのは、自分の病院でどう決まっているかを知っておくことです。

代わりの薬があるかどうかより、自分の病院でどう使うと決まっているか。


5. 技師にできること

薬を選ぶのは医師で、院内のルールを決めるのは病院です。それでも、現場の技師にできることはあります。

  • 残りの本数を、医師や看護師にも見える形で共有する
  • 本当にガストログラフィンが要る検査か、迷ったら医師に確かめる
  • 代わりの薬を使うことになったら、院内でどう決まっているかを確認しておく

いざ切れたときに「どうするんだっけ」とならないよう、切れる前に話しておく。それが一番の備えだと思います。


まずいまずいと言われ続けた薬が、なくなりかけて初めてありがたがられています(笑)。 明日もまた、残りの本数を数えてから透視室に入ります。

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