CTのアーチファクト、現場ではこう対処する|ベテラン技師の引き出し

 

◎ CTのアーチファクト、現場ではこう対処する|ベテラン技師の引き出し

「先輩、アーチファクトが出そうなんですが、どうしましょう」 ……若い技師が検査前によく聞いてきます。その判断ができるようになることが、ベテランへの第一歩です。





1. 金属アーチファクト——外せるなら外す、外せないなら処理する

金属が画像に放射状のノイズを生む「金属アーチファクト」は、CTで最もよく出るアーチファクトの一つです。

対処はシンプルです。外せる金属は外してもらう。 ブラジャーのワイヤー、ベルトのバックル、アクセサリー——撮影前の確認が第一歩です。

ただし外せない金属もあります。人工関節、脊椎のスクリュー、手術用クリップ——体内金属は外せません。そのときは金属アーチファクト低減処理(MAR)を使います。完璧に消えるわけではありませんが、診断できる範囲まで改善できることが多い。


2. 救急では「そのまま撮って処理」という判断もある

救急の場面では、ブラジャーやズボンのチャックを外す時間がないこともあります。

正直に言うと、救急疾患ならブラジャーやズボンのチャック程度のアーチファクトで診断は変わりません。そのまま撮ってMAR処理で対応するという判断は、現場では十分合理的です。

ただし大きな金属はだめです。ベルトのバックルはズボンからサッと抜く、時計は外す——秒単位で動く救急の現場でも、これだけはやります。細かい金属と大きな金属の区別、これが経験で身につく判断です。

「診断に影響するかどうか」——これが金属を外すかどうかの判断基準です。


3. 体動アーチファクト——速さで勝負、それでも動くなら抑える

動いてしまう患者さんへの対処は2段階です。

まず回転速度とピッチを上げる。撮影時間を短くすれば、その分動く時間も減ります。

それでも動く場合は直接抑える。タイマーをセットしてスタートボタンを押し、CT室に入って鉛エプロンを着て患者さんを抑える——この一連の動作を撮影開始までに終わらせなければなりません。

若手なら20秒でいけるかもしれませんが、親父技師は瞬発力がないので最近40秒にしようと思っています(笑)。


4. 厄介だった症例——工夫で乗り越える

「これは厄介だった」という場面は、振り返れば思い当たります。

円背が酷すぎて、頭部をガントリの中央に置けない患者さんがいました。そのときは横向きで撮影して対応しました。膝が伸ばせない患者さんのときは、アタッチメントを外してベッドの端に座らせ、そのまま膝を撮影したこともあります。

装置の都合に患者さんを合わせるのではなく、患者さんの状態に合わせて撮影方法を変える——これが現場の発想です。

教科書通りの体位が取れない患者さんは必ずいます。そのとき「できません」と言わず、「どうすれば撮れるか」を考えるのが技師の仕事です。


5. 「どうしましょう」から「こうします」へ

アーチファクトが出そうなとき、若手は先輩に「どうしましょう」と聞いてきます。それは正しい。でも最終的には自分で判断できるようになってほしい。

金属があるとわかっていたなら、MAR処理を使うか外してもらうか判断する。動きそうな患者さんなら、回転速度を上げるか抑える準備をする。「どうしましょう」を「こうします」に変えていく——それがベテランへの道です。


……40秒タイマーで走り込んでいる姿を若手に見られたくない、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、瞬発力を鍛えながら、検査室に向き合います。

コメント

人気の投稿