酔っぱらいのCT撮影|「考えるより感じろ」が技師の本音です
◎ 酔っぱらいのCT撮影|「考えるより感じろ」が技師の本音です
「次の患者、酔っぱらいです」 ……救急からそう連絡が来たとき、技師は少し身構えます。
転倒して頭を打った、意識がおかしい——酔っぱらいの患者さんは緊急で来ることがほとんどです。脳出血や骨折を除外しなければならない。でも、撮影するのが一筋縄ではいきません。
1. 酔っぱらいのCTが難しい理由
CTは動くと画像がぶれます。「じっとしてください」と言っても、酔っている方には通じません。検査台の上で寝返りを打つ、突然起き上がる——そういうことが普通に起きます。
現場で実際にあったのが、起き上がった拍子にガントリ(CTの輪っか部分)に頭をぶつけるというケースです。笑い話のようですが、本人は何が起きたかわかっていない。技師は焦ります。
2. 腕の見せ所——「寝てる隙に撮る」
では技師はどうするか。寝てる隙に撮ります。
酔っぱらいの患者さんは、暴れたかと思えば突然静かになる瞬間があります。その瞬間を狙ってスキャンをスタートする——これが現場の技術です。
コツを言語化しろと言われると難しい。「静かになったら」としか言いようがありません。呼吸のリズムを見る、体の力が抜けた瞬間を感じ取る——考えるより、感じろ。これが正直なところです。
酔っぱらいのCTは、技師の「感覚」が試される場面です。
3. それでも無理なときは無理
動く患者さんでも、抑えながら撮ることはあります。夜間は1人のことが多いので、先に鉛エプロンを着ておいて、タイマーを設定してスタートさせ、撮影室に入って体を抑える——そうやってなんとか撮影します。
ただし体重100kg超で動きまくっている患者さんは、抑えが効きません。それだけの体格の方が暴れると、転落のリスクもあります。ベッドから落ちたら本末転倒です。
そういう場合は医師と相談して、鎮静をかけるか、落ち着くまで待つか——技師だけでは判断できない場面です。「撮れない」と判断することも、現場の技術の一つです。
ただ、酔っぱらいの患者さんは基本的に上機嫌です。暴れながらも笑っていたり、意味不明なことを言いながら機嫌よくしていたり——困りながらも、なんか憎めないんですよね(笑)。出血していても痛がらない方もいます。アルコールの鎮痛効果、なかなかのものです。そして突然吐く(笑)。
……「考えるより感じろ」なんて言いましたが、感じる前に動かれて撮り直しになることも多い、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、酔っぱらいの患者さんの呼吸を見ながら、タイミングを計ります。



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