◎ 核医学検査、食事はどうする?|骨シンチと心筋シンチで言われることが真逆な理由
◎ 核医学検査、食事はどうする?|骨シンチと心筋シンチで言われることが真逆な理由
「えっ、食べていいんですか?」 ……骨シンチの説明をすると、よく返ってくる言葉です。
検査と聞くと、ごはんは抜くものだと思っている方が多いようです。食べていいと分かると、ほとんどの方が嬉しそうな顔をされます。ところが同じ核医学でも、心臓の検査になると話は逆になる。
核医学検査(シンチ)は、放射性の薬を注射して、その薬が体のどこに集まるかを撮る検査です。同じ部屋で、同じような機械で撮るのに、食事の指示は検査によってまるで違います。「食べていいですよ」と言われる検査もあれば、「抜いてきてください」「途中で牛乳を飲んでください」と言われる検査もある。混乱して当然です。今日は、その理由をお話しします。
1. 指示が違うのは、薬の行き先が違うから
核医学検査では、調べたい場所に集まる薬を選んで注射します。骨を見るなら骨に集まる薬、心臓を見るなら心臓の筋肉に集まる薬。
ところが薬は、狙った場所だけに行くわけではありません。一部は肝臓や腸、膀胱にも行きます。そこが写したい場所の近くにあると、邪魔になる。
食事や水分の指示は、ほとんどがこの「邪魔な場所」をどうにかするためのものです。だから検査ごとに違うのです。
2. 骨シンチ:食事はふつうに、水はたっぷり
骨シンチは、食事の制限がないことがほとんどです。
そのかわり、注射のあとは水をしっかり飲むように言われます。骨に集まらなかった薬は、腎臓から尿として出ていきます。水を飲んでトイレに行くほど、余分な薬が早く体の外に出る。画像がきれいになりますし、膀胱にたまった薬による被ばくも減ります。
注射してから撮影までは、3時間前後待つのが一般的です。これを伝えると、たいてい「えー、3時間も何すんのよ〜」と言われます。
そこで、その間は外に出て食事をしてきても構わないことが多い、とお伝えします。すると、さっきまでの顔が少し明るくなる。3時間は長いですが、お昼ごはんを挟めば、意外とあっという間です。
撮影の直前には、必ずトイレに行ってください。膀胱にたまった尿が、骨盤の骨を隠してしまうからです。
3. 心筋シンチ:いちばん指示が多い検査
心臓の検査は、注意事項が一番多くなります。そして施設による違いも一番大きい。
① カフェインは前日から控える
心筋シンチでは、運動や薬で心臓に負荷をかけて撮ることがあります。このとき使う薬の一部は、カフェインがあると効きが悪くなります。負荷が十分にかからないと、本当は血流が足りていない場所を見逃すおそれがある。
コーヒー、緑茶、紅茶、コーラ、栄養ドリンク、チョコレート。前日から控えるように言われるのは、このためです。 施設によっては、12時間前からのところもあれば、2日前からのところもあります。
それでも、「朝、コーヒー飲んできちゃいました」という方は結構いらっしゃいます。その場合は、申し訳ないですが延期です。
この検査は、負荷をかけたときとかけないときの心臓を比べて、血流の足りない場所を探します。負荷が効いていなければ、比べる意味がない。せっかく来ていただいても、撮るだけ無駄になってしまうのです。
② 途中で軽食や牛乳を言われることがある
注射のあと、撮影の前に「軽く食べてきてください」「牛乳を飲んでください」と言われることがあります。
心臓の真下には、肝臓や胆のうがあります。薬の一部はここに集まるので、そのままだと心臓の下側が見えにくい。食事をすると胆のうが縮んで、たまった薬が腸へ流れていきます。心臓の下側が見やすくなるわけです。
③ 朝ごはんは、病院によって違う
「朝食は抜いてきてください」と言う病院もあれば、「食べてきてください」と言う病院もあります。使う薬や、検査の組み立て方が違うからです。
ここは、どちらが正しいという話ではありません。渡された説明書に書いてある方が、その病院での正解です。
4. 脳血流シンチ:たいてい制限なし
脳の血流を調べる検査は、食事の制限がないことが多いです。
ただ、注射のときは静かな部屋で、目を閉じて安静にしてもらうことがあります。脳の働きが薬の集まり方に影響するからです。食事より、こちらの方が大事な検査です。
5. よくある落とし穴
現場でよく出会うのは、次の二つです。
① 同じ日に別の検査がある
骨シンチの日に、胃カメラや造影CTも予約されていることがあります。骨シンチは食べてもいい検査でも、もう一方が絶食なら、そちらに合わせる必要があります。一番厳しい指示に合わせる。迷ったら、予約のときに聞いてください。
② 食事を抜くとき、いつもの薬はどうするか
特に糖尿病の薬は、食事を抜いた状態で飲むと低血糖になることがあります。食事制限のある検査のときは、薬をどうするか、主治医に確認しておいてください。検査室で急に聞かれても、技師には判断できません。
食事の指示が検査ごとに違うのは、気まぐれではない。薬の行き先が違うから、邪魔をする場所も違うのです。
……なんて偉そうに書きましたが、結局いちばん大事なのは、渡された説明書をちゃんと読むことです(笑)。 明日もまた、「朝ごはん、何時に食べました?」と確認しながら、検査室に向き合います。


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