脳梗塞、CTだけでは分からないことがある|半日という壁

◎ 脳梗塞、CTだけでは分からないことがある|半日という壁

「頭のCTを撮ったのに、脳梗塞は分からないんですか」 ……ご家族から、そう聞かれることがあります。

脳梗塞は、CTだけでは早期に分からないことがあります。理由があります。




1. 最初に撮るのは、脳梗塞を探すためではない

脳梗塞が疑われる場面で、最初に撮られる検査の多くはCTです。

ただ、これは脳梗塞そのものを見つけるためというより、出血がないかを確認するためです。脳梗塞の治療には、詰まった血管を開通させる薬を使うことがありますが、この薬は出血がある場合には使えません。だからこそ、まず出血の有無を見極める必要があります。

CTは、出血を見つけるのが得意な検査です。


2. 脳梗塞そのものは、半日経たないと分かりにくい

では、CTで脳梗塞そのものはどう見えるのか。

発症から半日ほど経たないと、CTでははっきりとした変化が出てこないことが多いのです。血管が詰まった直後は、まだ脳の組織にCTで捉えられるほどの変化が現れていません。

イメージとしては、刺身に近いかもしれません。切ったばかりの刺身は、見た目にも新鮮なままです。ですが、そのまま半日ほど置いておくと、表面が乾いたり、色が変わったりしてきます。中身の状態が、時間とともに見た目に表れてくるということです。

脳の組織も同じで、血流が止まった直後はまだ見た目に変化がなくても、時間が経つにつれてCTで分かるような変化が出てきます。発症してすぐにCTを撮っても、「異常なし」に見えることがあるのは、これが理由です。


3. MRIなら、もっと早く分かる

この「半日の壁」を越えられるのが、MRIです。

MRIには、脳梗塞を早期に捉えるための特殊な撮り方があります。血管が詰まった直後から変化を映し出せるため、CTでは分からない段階でも、脳梗塞の広がりを確認できます。

時間との勝負になる脳梗塞の治療において、この差は大きな意味を持ちます。

CTは出血の有無を、MRIは脳梗塞そのものの早期発見を。役割が分かれています。


4. だから、CTで異常なしでも安心とは限らない

「CTで異常なし」と言われても、それは「出血はない」という意味であって、「脳梗塞ではない」という意味ではないことがあります。

症状が続くようであれば、追加でMRIが検討されることがあります。CT一枚だけで、すべてが分かるわけではないのです。


……「なんでCTで分からなかったの」と聞かれるたびに、検査の役割の違いを説明する、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、それぞれの検査の得意な場面を頭に置きながら、検査室に向き合います。

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