総胆管結石を疑うCT、単純を必ず撮る理由
◎ 総胆管結石を疑うCT、単純を必ず撮る理由
「造影で撮ったので、単純は省略しました」
……これをやると、小さい石を見逃す可能性がある。理由を説明できるだろうか。
上腹部痛で総胆管結石が疑われる患者のCT。日常的に撮っている検査だが、押さえておくべきポイントがいくつかある。
1. なぜCTが撮られるのか
胆石そのものは、実は無症状のことが多い。健診のエコーで偶然見つかる、というパターンが大半だ。
CTが登場するのは、症状が出てからだ。上腹部痛があり、総胆管に石が落ちている可能性を疑うとき。さらに胆嚢炎や膵炎といった合併症も視野に入れるなら、造影も追加される。
つまりCTは「胆石を探す検査」ではなく、「痛みの原因と合併症を評価する検査」として撮られている。
2. 単純を省略してはいけない
ここが一番のポイントだ。造影があるからといって、単純を省略してはいけない。
石灰化を含む石は、単純CTで白く写る。ところが造影剤を入れると、腸管も白く染まる。同じように白いものが画面に増えるため、小さい石がその中に紛れて見えなくなる。
単純であれば、周囲が暗い中に石だけが白く浮かび上がる。このコントラストが、小さい石を拾う鍵になる。
造影は合併症を見るため。単純は石を見るため。役割が違う。
3. それでも写らない石がある
単純を撮ったからといって、すべての石が見えるわけではない。
胆石は組成によって見え方が変わる。カルシウムを含むものは白く写るが、純粋なコレステロール結石や色素石は、胆汁とX線の吸収がほぼ同じため、CTでは区別できないとされている。いわゆるCT陰性胆石だ。
日本人の胆嚢結石はコレステロール系が多いとされており、「単純で写らなかったから石はない」とは言い切れない。
4. 写らないなら、拡張を見る
では、石そのものが写らないときはどうするか。
胆管の拡張を見る。
石が詰まっていれば、その手前で胆汁の流れがせき止められ、胆管が広がる。石が直接見えなくても、拡張という間接的なサインから「どこかで詰まっている」と読み取れる。
石を探すだけでなく、拡張の有無まで含めて画像を見る。これが総胆管結石を疑うCTの基本姿勢だ。
5. MPRを作っておくと喜ばれる
軸位断だけでは、胆管の走行を追いにくいことがある。石がどこにあるのか、どこから拡張しているのか、立体的に把握したい場面が出てくる。
単純と造影、双方のMPRを作っておくと、読影する側に喜ばれる。
言われてから作るのではなく、この検査ならこう見たいだろう、と先回りして用意しておく。手間は増えるが、それが技師の仕事の質になる。
……「単純いらなくないですか」と言われて、理由を説明するのに手間取った、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、造影の前に単純をきちんと撮りながら、検査室に向き合います。


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