当直は一人、それでも優先順位は付けなければならない

◎ 当直は一人、それでも優先順位は付けなければならない

「検査が2件重なったら、どっちを先にやるんですか」 新人にそう聞かれることがある。

大きな病院でなければ、当直は技師一人という体制が多い。相談する相手がいない中で、優先順位を決めなければならない場面が出てくる。



1. 命に関わるものが、常に先

優先順位の基準はシンプルだ。命に関わる緊急性が高いものを、先にする。

脳梗塞、心臓、大動脈解離。これらは時間が命取りになる疾患で、検査が遅れることが致命的な結果につながりかねない。だから、他がどれだけ待っていても、まずこちらを優先する。


2. 外傷・腹痛・肺炎は、症状次第

一方、外傷や腹痛、肺炎は、基本的には後回しになることが多い。

ただし、これは絶対的な順位ではない。同じ「腹痛」でも、症状の重さによっては優先度が上がることがある。教科書通りの分類に当てはめるのではなく、その時々の症状を見て判断する必要がある。


3. 混雑時は、モダリティ単位でも順番を決める

検査が重なるのは、患者単位だけではない。混雑がひどいときは、検査の種類ごとにも優先順位をつけることがある。

たとえば、CTをすべて先に回してしまい、レントゲンは後にする、という判断だ。CTは緊急性の高い疾患の判断に直結することが多いため、待たせるわけにいかない。レントゲンは、その間は後回しにしても大きな支障が出にくい。

患者一人ひとりの優先順位だけでなく、検査の種類そのものにも優先順位がある。


4. 新人は、一人で決めなくていい

ここが一番伝えたいことだ。新人のうちは、優先順位を自分だけで判断しようとしなくていい。

迷ったときは、救急ナースに任せるのが良い。ナースは患者の状態をそばで見ていて、緊急性の判断材料を技師よりも多く持っている。若いうちは、そうやって周りの判断を頼りながら、少しずつ感覚を覚えていくものだ。

一人体制だからといって、すべてを一人で背負う必要はない。


5. 一人だからこそ、判断の軸を持っておく

当直が一人という体制は変えられない。だからこそ、優先順位を決めるための軸を、あらかじめ持っておくことが大切になる。

命に関わるものを先に。混雑時はモダリティ単位でも順番をつける。迷ったら人に頼る。この3つだけでも、当直の判断はずいぶん楽になる。

一人体制というのは、技師が孤立しているという意味ではない。ナースも医者も、同じ現場で働く仲間だ。一人で抱え込まず、頼れるところは頼る。それでいい。


……「どっちが先ですか」と聞かれるたびに、自分も新人の頃は分からなかったなと思う、冴えないおやじ技師の独り言です(笑)。 明日もまた、優先順位を頭の片隅に置きながら、検査室に向き合います。

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