バリウムのレントゲン撮影は版画のようなもので、胃の中にバリウムをいれて(飲んでもらって)、バリウムを胃の壁に付着させて撮影します。しかし、バリウムが付きすぎているとバリウムが写りすぎて、胃の壁の状態がわからないため、胃の壁だけが見やすくなるように体を動かして、撮影します。
そのため、いろいろな撮影方法があります。
その撮影方法については、依然こちらで記事を書きました。http://radiographerx.blogspot.com/2015/03/what-is-contrast-mediaupper-gi.html
この記事に載せた動画を見ていただくとわかりますが、最初に頭低位撮影と言って頭を下げた状態で撮影する撮影方法があります。
頭低位撮影(胃X線間接撮影法:youtubeより転載しました) |
このようにあらゆる角度から撮影して、胃の全体をもれなく撮影するスタイルが標準撮影法です。
今回の事故はこの頭低位の時に、落ちたと推測されます。
この撮影はやはり危ないので、担当する放射線技師は細心の注意を払って撮影していますから、このような事故が起きたというのは聞いたことがありません。
ベッドサイドに手すりが付いていますから、そこをしっかり持っていただくように案内しますし、肩のところに引っかかり棒のようなものが当たるようになっているため、落ちることはないはずです。
外国の方のようだったので、意志の疎通に問題があったのでしょうか。。。
もしかしたら、気を失っていたのかもしれませんね。
胃の検査をするときは、最初に発泡剤というお薬を飲んでいただいて胃を膨らませます。
その時に、時々具合が悪くなる方もいるそうです。
もしかしたらそれに近い状態だったのかもしれません。
胃の集団検診は、胃がん死亡の減少に大きく役立ってきた検査で、確立されたものですから今回の事故は残念です。
私たちは二度とこのような事故を起こさないよう、注意しなくてはいけません。
学会などで標準撮影法や現在ある認定技師制度などについての検討が必要となるかと思います。
最後になりますが、事故にあわれてしまった女性のご冥福をお祈りいたします。
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