2015年7月18日土曜日

救急外来(夜勤)のCT撮影が増えたのはなぜ??(CT検査はとっても簡単)

2年くらい前に、私の病院にもマルチスライスCT64列というとてもスピーディーに撮影ができるCTが整備されました。

このマルチスライスCTというのはカメラが64個付いたような装置で、昔のCT装置64倍くらいの速さで写真が取れてしまうような装置です。(かなり乱暴な説明ですが、とにかく速く撮影できるということです詳細はwikipediaなどをご参考にされてください)


この装置がとにかく速いので、今はCT検査がすごく多くなっています。
私もたまに夜勤の救急撮影の仕事があるのですが、昔は夜中には胸と腹のレントゲンとたまに骨のレントゲンくらいしかとっていなかったのですが、最近はCTばかりになりました。

腹痛で来られる患者さんの数は変わってないけれどご高齢の方の意識障害や発熱などが増えたからなような気がします。
疑われる疾患に対してのCT検査の適応が多いのでしょう。

なぜCTが多いのかと言えば、簡単にあらゆる情報がえられるからでしょうか。
(被ばくは多いですが・・)

「簡単に」というのがあまりよろしくない表現かもしれません。

「スピーディー」にというのが正しいでしょうか?

「わかりやすい」というのも重要な要素かな??
個人的には、「痛みがない」というのも大事な要素かと思います。

症状にもよりますが、自分が患者なら救急の時はCT撮ってもらいたい、できればそれだけにしてもらいたい・・・ですね(レントゲンのお金払いたくないし)

とはいってもCT検査の費用は高いですから、無駄に撮影すると医療費がかさみますのでよく考えないといけません。レントゲンだけで済む疾患もたくさんありますから。


さて、なんでCTが良いのかというと、CT検査は寝ているだけで終了するところでしょう。
逆にレントゲン検査は、寝ているだけでは済みません。

例えば胸のレントゲン撮影、どのようにとるのかというのは以前かきましたが胸部レントゲンの基本は立ってとるやつですよね。

この時、みなさんは胸をフイルムに付けて撮影しています。
そして後ろからレントゲンを当てます。

痛みがひどくて立てない時は、どうするか?
その時は寝てとります。

寝て撮るときはどうするかというと、胸の上にフイルムを置いても下からX線は出せません。
例えばベッドの下からレントゲンを出すことは構造上できませんし、できたとしてもベッドのなかのスプリングとかが写りますね。

ですから、背中の下にレントゲンの板(フイルム)を敷いて撮影しています。



この時背中に板(フイルムが入っている)を敷くために体を持ち上げます。

夜の救急外来。
背中が痛い、おなかが痛い、首が痛い。。。などなどの症状。
そのような七転八倒状態の時に背中に板を入れられるのって、つらいくないですか?

胸と腹のレントゲンくらいならこの程度でよいですが、骨折が疑われてるときは基本2方向撮影します。ですから患者さんを横向きにしたり、斜めにしたり動かします・・・・その度に痛い。

しかしCTだと今のCTはすごく速いので、全身が1分もかからないで撮影できてしまいます。
それで、あらゆる疾患が写ってきますからとにかくすごい。

脳出血も、消化管穿孔も、大動脈破裂や腸閉塞、肺炎、肺がん気胸などなどです。

ということで、今日は夜勤の撮影がCTばっかりになってきたというお話をさせていただきました。

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