2015年9月5日土曜日

レントゲン被ばく量の測定は簡単ではない

レントゲンの線量測定をすることになった。

しかし、線量計を持っていないので借りることになる。

ある程度の規模の施設であってもX線の線量計を持っていない病院というのは結構ある。

線量計は百万くらいするし、そのくせ線量を測定しても診療報酬が加点されるわけではないので、病院も積極的には買ってくれないのだ。

だから、突然線量を測定してみようといってもそんなに簡単にいかないのです。

まったく情けない、なさけない。反省しなければいけません。

久しぶりに勉強したけど、ほんとにそんなに簡単ではない。

レントゲンの線量測定というのは線量計というのがあって、それを置いてそこにレントゲンをかけて指示値をみる。

ただこれだけのように感じるのだが、この指示値というのは照射線量といって出力したレントゲンの量を表示しているだけだ。

それがどうしたと思うだろうが、ここからややこしくなる。

レントゲンにもエネルギーというのがあって、そのエネルギーの違いによって体が放射線を吸収する割合が変わってくる。

だから単純にその照射線量というのを測定しても、実際に患者さんの体に吸収された被ばく線量を測定したことにならないということだ。
どれくらい吸収されるかはその臓器や体の大きさなどによって変化するからだ。

専門的にいうと測定時にはまず照射線量を測定し、エネルギーも測定する。

そして皮膚面の線量を評価するなら、そのエネルギーの時にはどのくらい皮膚が吸収するのかという係数をその値にかける。

さらに、レントゲンが透過した後に跳ね返ってきた放射線がどのくらい発生するかというのも考慮し、その係数もかける。

ということで、いろいろかけてややこしい。

さらに、よく話題になるなんちゃらシーベルトという値に関しては、等価線量と実効線量といって2種類ある。

実効線量は放射線が臓器や年齢によって影響の受け方がかわってくるのでそれらを考慮した値になっている。だからそれらも含めて計算しなくてはいけなくなる。

すなわち、同じ量の放射線に当たっても患者さんの年齢や臓器の種類によって被ばく量は変わるということだ。

ということで、放射線の測定はなかなか難しいのだ。

最近はよく患者さんに何ミリシーベルトかけたのか聞かれたりするが、かけた量は大体わかるが吸収された量は患者さんの年齢や撮影部位などによって変わってくるのだ。

ここまでの説明で、シーベルトをお伝えするは無理に近いということはお分かりいただけるかと思う。

とはいうものの、自分が使っている装置の出力を測定することは機器管理という側面からみて非常に重要なことだ。

原発の件もあったことだから、自治体からも線量計寄付などあってもよいのではないかと思うが、ほかにお金を回す方が人が救われるのかな?


とりあえず今回の機会を利用して、スタッフが被ばくに関する知識を深められれば良いなと思った。


ちなみに医療スタッフの被ばく線量を測るのは、ガラスバッジ線量計と呼ばれるもの。

これで、医療従事者がどのくらい被ばくしたかを評価することはできる。

しかし、これは一検査ごとに評価できるようなものではないのということで、放射線測定は難しいのであった。

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