こんなに違うの?
レントゲン室で撮影する写真と病棟で撮影する写真の違い
胸のレントゲンを撮影したことはみなさん一度はあるでしょう。
ほとんどの場合、立って撮影しますね。
なんで寝て撮らないのか。疑問に思いませんか?
実は寝て撮るという方法もあります。しかし、進んではやりません。
ここには、実は理由があります。
人間は生活の大半を起きてすごしています。生活している時間の方が寝ている時間よりずっと長い、ですから立っている状態というのがその人に日常状態を正確に表しているといえます。
胸部のレントゲンでよく見るのが、肺の状態ですね。
肺炎がないか、胸水といって肺に水がたまっていないかなどを判断します。
これは胸水が写っている写真ですね。人が立っている状態ならば空気は上にあがり水は下にたまりますのでこのようにうつりますね。
http://www.jomf.or.jp/様ホームページから転載しています。 |
これをねてとるとどうなるでしょう。この立位の写真のような空気と水の境界が写りません。
つまり、胸水があるかないかの判断がしにくくなるのです。
ですから、寝て撮るのと立って撮るのとで医学的にみて診断のしやすさが変わってきます。
私は診療放射線技師なので、ここからは工学的な話もさせてください。
(職場ではだれも聞いてくれないので。)
病棟などで撮影することの多い、ポータブル撮影。
基本的に寝て撮りますが、このポータブル撮影装置というのは簡易型装置です。
高いエネルギーを出して撮影することができません。
(*最近の装置ではできるようになってきていますが、一般的ではない)
さて、「エネルギー」なんて言葉が出てきてしまいました。
X線にはエネルギーがあります。
このエネルギーの違いによって臓器の写り方が変わってきます。
エネルギーが低いと骨が写りやすくなります。
逆にエネルギーが高いと骨は写りにくくなります。
胸部レントゲンでは、肺の状態を観察することが多いので骨はあまり目立って写ってほしくないです。
そこで、レントゲン撮影室などで撮影するレントゲンは高いエネルギーを使って撮影しています。
通常120kvという電圧を使って発生させたX線が利用されています。
反して、ポータブル撮影では70kvや80kv程度の電圧を使用した撮影が一般的です。
そのためレントゲン室で撮影したものよりも、骨が目立って写ってしまいます。
最近のポータブル装置は、高い電圧を発生させて撮影することができるようになってきたようですが、高いエネルギーのX線を利用すると散乱線と呼ばれるX線が体からおおく発生してしまい、画像にボケが生まれてしまいます。
レントゲン撮影室ではこの散乱線を除去することができる装置が備え付けてありますが、ポータブル撮影時には全く同じものを利用することができません。
ですから、現在でも多くの施設では70kvや80kvといった電圧のレントゲン撮影が行われているものと思います。
以上がレントゲン室での胸部写真と病棟での写真の違いについてでした。
ということで、できればレントゲン室でお会いしたいですね。
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