2015年8月12日水曜日

IT革命とデジタルレントゲンと放射線被ばくの関係(デジタル化は有効だった?)

IT革命という言葉はご存知でしょうか? 15年くらい前にかなり流行った言葉です。

あのIT革命の時代にわれわれ放射線業界もIT革命されました。
いやほんと今思えば、すさまじかった。

いまや主婦も子供も学生もスマホを持つなんて、あのころは考えられませんでしたからね。

今みたいな状況のことをユビキタス社会なんて当時は言ってましたけど、ほぼそのような形になっていますね。

家でもどこでもエッチな画像が見れる。私にとっては夢のような世界になりました。

おっと失礼しました。

さて、放射線のIT化というと世間でも最初のIT(デジタル化?)の走りとなったのはデジカメではないでしょうか?

カメラがフィルムからSDカードになって、フィルムカメラの頃はフィルムを日光にあてると真っ黒になってしまいましたが、そんな失敗をすることもなくなりました。

デジカメも最初の頃はSDカードではなくて、スマートメディアとかコンパクトフラッシュとかメモリースティックとかいろいろ分かれていましたね。
大体16メガから32メガくらいの容量だったのが懐かしいです。

しかも値段も1万円くらいしたような。。。

今では64ギガのマイクロSDカードとかが普通になりつつあるのにはびっくりです。

話がそれました。

放射線業界もデジタル化があったのですが、実はCTやMRIというのは最初からデジタル化された技術でした。

なので、私たちの業界で最大のIT化はデジタルレントゲン(CR)が設置されたことでしょう。

このCRというのはレントゲンがデジカメになったような感じです。

デジカメは、モデルからの光を電気信号に変換し、それをSDカードなどに保存していますね。

レントゲンのデジタル化も同じように、エックス線を光に変えてそのあと電気信号に変えるということでデジタル化されました。

このデジタル化のメリットは何か・・・

過露出がなくなったのが一番よかったことかもしれません。

レントゲンでは、エックス線の量をいっぱいかけるとフィルムが黒くなります。これは、フィルムを光に当てておくと真っ黒になってしまうのと同じですね。

真っ黒にしないようにするには、適切な量のX線を照射しなくてはいけませんでした。

これを条件設定と呼んでいましたが、この条件設定はなにげに経験がものを言うところでした。

というのも患者さんの体の大きさによって、エックス線を出す出力を変化させる必要があったからです。

体の大きい患者さんは多めにX線を出す必要があります。そうしないと画像が真っ白になってしまうのです。

逆に体の小さい患者さんは少なめにします。そうしないと画像が真っ黒になってしまいます。

このさじ加減が結構難しくて、経験がたよりでした。
私もよく過露光の写真や真白い写真を撮影してしまったことがありました。

でも、いまのデジタルレントゲンではフォトショップばりに後から画像を薄くすることができます。
ですので、ほとんどこの条件設定では失敗することがなくなりました。

しかし、薄い画像を濃くするのがどうしてもうまくいきません。

これは、デジカメで夜撮影したときに画像がざらついてしまうのと同じです。

明るくできるのですが、画像がざらざらになる。

ということで、デジタル化されてから多くの技師はレントゲンをちょっと多めにかけていた時代が数年ほどありました。

しかし、最近の装置はレントゲンを検出する感度がとっても上がったので昔のX線量の3分の1くらいでも十分に綺麗な画像が得られるようになりました。

これは富士フィルムさんやコニカミノルタさんの努力の結果です。


ですから、いまは昔に比べるとレントゲンによる被ばくは減ったと思われます。

IT化と被ばく量には、密接な関係があったのでした。

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