2015年8月31日月曜日

気胸のレントゲンの見方がわからない:I can not find pneumothorax

うちの新人ちゃんとこないだレントゲンを一緒に撮影してた時のことだ。

当院は午前中はまあまあ忙しが、午後も2時くらいにはだんだん暇になってくる。

なのでそこからはみんなでおしゃべりする。

というのは冗談で、画像診断とレントゲン撮影について熱く語り合うのが日常です。

けっして日頃の愚痴や週末の遊びの予定、旦那の悪口なんかを話したりはしていない。

その時に、新人ちゃんが気胸のレントゲンがわからないんですと言い出した。

レントゲンの本を持ってきて、軽く説明したところわかったんだかわかんないんだか・・・

正常画像と比べないとわかりにくいよね。と思い、ネットで画像を得たのでここに載せておこう。
It was when I filmed an X-ray with my newcomer. Our hospital is reasonably busy in the morning, but gradually becomes free at around 2 pm. So from there everyone talks. It's a joke, and it's common to have a hot talk about diagnostic imaging and X-ray photography. He never talks about his usual bitches, weekend play schedules, and his husband's swearing. At that time, a newcomer told me that he did not know the pneumothorax radiograph. I don't know if I brought my X-ray book and explained it lightly… It would be difficult to understand unless it was compared with a normal image. I got the image on the net and I'll put it here.

仕事中に画像診断についての話ができずに一人で悩んでいる若い技師さんの役に立てばうれしいと思う。

気胸何らかの原因で肺に穴があいて、肺がつぶれる現象だ。

肺の中の空気が抜ける。

その空気は体の外には出ないので、その空気で肺が押される。

そして肺がつぶれるというもの。

肺は空気が大部分を占めるので黒く写り、肺から出てしまった空気も黒く写るので確かになれないと気胸もわかりにくいと思う。

これが気胸発症時と治療後の写真の比較です。

ぱっと見では、素人さんはわからないでしょう。
I would be glad to help a young technician who is alone and unable to talk about diagnostic imaging at work. Pneumothorax A phenomenon in which a hole is made in the lungs for some reason, causing the lungs to collapse. The air in the lungs escapes. Because the air does not go out of the body, the air pushes the lungs. And that the lungs collapse. The lungs are mostly black, so the air is black, and the air that has come out of the lungs is also black, so it's hard to tell the pneumothorax if you can't do it. This is a comparison of the photo at the onset of pneumothorax and after treatment. At first glance, the amateur will not know.
しかし、肺のなかには血管ががるので、うっすらと血管が写ります。

その血管の走行に注意してみてみると、なんだか違いが分かってきます。

次回は、その所見にせまってみましょう。
However, blood vessels appear in the lungs, so they appear slightly. If you pay attention to the movement of the blood vessels, you will notice some differences. Next time, let's get down to that finding.

2015年8月30日日曜日

画像診断もコラボレーション(PET-CT)

一昔前にコラボって言葉がはやりましたね。

有名歌手同志のコラボが歌だして大ヒット!みたな。

それぞれの特徴をいかして、また新たなる価値を生み出すわけです。

画像診断でもコラボあります。

PETCTなんていうのがその最たるものかと。

PETというのとCTのコラボです。

PETはPositoronEmissionTomographyといって、核医学検査の一つです。

放射線を出すお薬を体の中に入れて、そこから出てくる放射線を計測する検査です。

これは画像的にぼやっとしています。

ぼやっとしすぎるので、計測したデータがどこの臓器のどの部分なのかわかりにくいのです。

そこでCT画像を同時に撮影して重ね合わせます。

そうすると、PETで写っている部分がどこなのかがわかりやすくなるという効果があります。

当然CTとしての画像診断もできます。

このように、それぞれの特徴を活かした検査というのもあります。

2015年8月29日土曜日

酒は飲んでも・・・迷惑かけるな!!

昨日は当直でした。

当直時間帯というのはいろいろと興味深い患者さんがくる。

今日も興味深い患者さんが訪れた。

脱力ということで頭部のCTを撮影に来たその患者。

なぜか、連れてきたナースの機嫌が悪い。

CT操作室に入るなり

「も~この人、最悪!」とそのナース。

どういうことなのか?

私の病院では患者間違いをしないように患者さんに名前を名乗っていただくのだが、
この患者さん、その時になぜか

「私の名まえはホルモンです。」と言い出したらしい。そして、何度聞いても言い続けたらしいのだ。

ちなみにこの患者さんは昼から、バーベキューで焼肉食っていたらしい。

結構酔ったが、一応脱力ということなので救急車でご来院されたのだが。

ふざけているのか本当におかしくなったのかは、わからない。

こういう時は、念の為にも画像検査などをする。

結局,CTは異常なかったが。。。

しかし、酒というのは本当にすごいんですよ。

酒飲んで転んで運ばれてくる患者さんを撮影することはよくあるが、
結構なたんこぶがあっても、脳の中に出血があっても
みなさんあんまり痛がらない。そして、元気なんですよね。

「これ、絶対痛いやろ!」というような状態なのに、いびきかいて寝たりするからほんとにすごい。

しかし、医療スタッフからするとかなり迷惑。

写真撮影の時も指示通りにやってくれませんし。
ふざけるし、寝るし・・・


酒はほどほどにしたいですね。

2015年8月28日金曜日

装置によって違うCTの被ばく量:表示値と指示値の差があるらしいぞ

先日知り合いが言っていた興味深い話を紹介しよう。

最近、患者さんに被曝線量について聞かれるよねー、なんていう話をしていたところ、CTの被ばく量は、装置によって違うということをきいた。

まあ、考えてみれば当たり前なのだが、

それより驚いたのが、CT装置に表示される照射した線量の値が、
10から20%も誤差があるらしいということだ。


最近のCTは、検査をするとその時に照射したX線の量を表示してくれる機能がある。

しかし、この値は撮影時に実際に測定しているわけではなく

あらかじめ測定したデータから計算されて表示されるものだが、
この値と線量計で実測した値が
10から20%も違うらしいのだ。

ということは、五回受けたら一回は無いということか?

逆に考えると、4回で5回分ということもあり得るではないか。

これではその線量も目安にできないではないかと思ったのは私だけであろうか。

やはり、CTも線量計で測定しておくべきだと思った。

そして、CTこそそうすべきであろう。

2015年8月27日木曜日

レントゲンの被ばく量は体の大きさで変わる(ライザップに通おう!)

レントゲン撮影時には、エックス線というのを使います。

このX線による被ばく量が、患者さんの体の大きさによって変わってくるのはご存知ですか?

レントゲンは影絵の原理です。

体にX線を当てて、透過してきたところがより黒く写ります。

X線は、骨や金属を透過しにくいということはよく知られていますが、
かといって筋肉や脂肪、水などはすべて透過するというわけではありません。

だから、やせている患者さんと太っている患者さんで、レントゲンの被ばく量は変わってきます。

お腹のレントゲンを撮影するときに、
体の小さい人には少ないレントゲンをかけても体を透過してくるX線の量は十分な量になりますが、
大きい人になると何倍もX線をかける必要が出てきます。

それぐらいかけないと、体の脂肪にX線が吸収されてしまい、
エックス線がフイルムまで到着せず、画像にならないのです。

特に、体の大きい人にはエネルギーの高いX線を利用します。

これは、エネルギーが高いほどX線が透過しやすくなるからです。

エネルギーを大きくすると、またX線の量が増えます。

ということで、太っている方はX線に当たる量が多くなるのです。


私たちはやはり、
健康のためにもライザップに通うのが良いのだろうかと思った8月の夕暮れだった。

2015年8月26日水曜日

認知症をMRIで調べる

最近、MRIで認知症を調べるという検査をするようになりました。

理屈は、アルツハイマー型認知症は、
最初に脳の中の海馬と呼ばれるところが小さくなる(萎縮する)
ということがわかっているので、
その大きさが小さくなっていないかをMRI画像で調べるという検査になっています。

撮影は海馬の大きさがわかればよいので、そんなにたくさんの種類の画像を撮影する必要がなく、そんなに大変な検査ではないです。

ですから、われわれもそんなに時間がかからない検査になるもんだと思っていました。

しかし、思わぬことが。

検査を受けにくる患者さんは認知症を疑われていることだけあって、
結構準備に時間がかかってしまうケースがたまにあります。

金属をとって置いてとお願いしても、取っていてくれていなかったり。
服は脱がなくてもいいのに、脱いでいたりなどなど。

そんなに多くはないですが、これも時代なんだよなと思ったのであった。

2015年8月25日火曜日

レントゲンとCTの違いについて比較しよう

レントゲンとCTの違いと画像の見方

レントゲンもCTもX線を使った画像というのはご存知の方も多いでしょう。
では、CTとレントゲン画像の違う点はどういうところになるのでしょうか?

CTは断層画像、レントゲンは平面画像と表現されますね。

今日は、知り合いがくれた卵の写真からその違いを見てみましょう。

このように水の中に

生卵、ゆで卵、冷凍卵を配置しレントゲンとCTを撮影してみましょう。



















レントゲンの画像はこちらです。



















どれも同じように写っていますが、卵のなかにグレーの円形が写っていますね。



















これが診断の上でのポイントになります。

次にCT画像をみてみましょう。これは、3つの卵の断面写真です。
これだとみんな同じように見えますね。
違いが分かりにくいですね。



















この画像を3Dにしてみるとどうなるでしょうか?

















こうすると卵全体をみることができますね。

上から見ることもできますよ。


このように見ると差があることがわかってきます。

殻の部分にひびが入っている卵

窪みのようなものが2か所の卵

窪みが1か所の卵です。

さて、そろそろ正解にいきましょう。

実はこのように配置されていました。




レントゲン画像のグレーの丸は

卵の中の空気を表しています。




ということで、ゆで卵では空気が2か所に分布されていたようですね。

割ってみると確かに2か所の窪みがありました。


冷凍卵は殻にひびが入っているのでわかります。

ひびがはいった過程で空気は殻の外に放出されたのでしょう。



さて、このようにCTとレントゲンと撮影して卵の状態を観察してみました。

同じX線を利用していても、このように違いがあることがわかります。

ところでCTでは簡単に卵の状態違いがわかりそうな気もしましたが、
実はそうでもないと思いませんでしたか?

実際、病院での診療もこのようにそれぞれの装置の特徴を利用して、
最初は安くて簡単な検査から始め、徐々に核心に近づいていきます。

今回の実験ではレントゲンとCTを撮影していますが、
卵の状態を知るのに一番わかりやすいのは、手で持った感触や重さの比較だったかもしれませんね。

また、時間を経過させたときの変化などもあればわかりやすいでしょう。

冷凍卵は溶けてくると殻に入ったひびの部分から中身が漏れてきますね。


このようにいろいろな尺度で観察することによって、状態を確認することができます。

病気を見つけ出すということもこのように画像検査だけではなく、
血液検査や十分な問診、時間経過などを総合して判断しているということになります。

2015年8月24日月曜日

ダイナマイトを持ち込む患者やお股に金属つけてる患者まで・・

レントゲンの検査では、金属類はお持ちではないですか?と

来る日も来る日も聞いています。

「ハズしてあります」

とか

「付いて無い洋服来てきたは」

と言われるのことが多いですが、時々面白い方々がいらっしゃいます。

「おれ、ダイナマイト持ってるぜ!」

このパターンの患者さんには、過去20年で5人ほどお会いしたでしょうか。

もしかしたら、同じ人かもしれませんが。

このダイナマイトというのは、狭心症の薬でニトログリセリンが原料となっている薬のことです。

このニトログリセリンは爆薬の原料にも使用されているという、狭心症患者の世界ではよく聞く話のやつです。

それとからめて

「ダイナマイト持ってるぜ!」となるパターンです。


金属ありますか?のといに、ニヤリと笑いながら自分の股間を指さすとんでもないのも結構います。

この手のタイプは過去に10人はいたと思われます。

金玉と金属をかけているわけですね。セクハラこの上ない。


番外編で、名前をなぜか逆さに言う人というのもいるそうです。

私は未経験ですが、知り合いの病院にいるらしく、

「お名前をおっしゃってください」というと

「まうょりもとかさ(さかもとりょうま)です」と答えるなんともふざけた方がいるそうです。

ということで、技師の皆さんは注意しましょう。

2015年8月23日日曜日

「3D画像になるなんてすごいね〜」に答えられない哀れな技師

今日頭のCTを撮影した後、患者さんから

「いや〜、撮影早かったね〜」と言われ、

「そ~なんですよね」と答えた。

続いて、

「何枚くらいとったの?」

ときたので、

「20枚くらいですかね」と私。

そしたら、

「そうかそうか、すごいね〜。これで3D画像にしてくれるんだからすごいよね。」

といっていた。

「あっ」と思ったが、俺素直なんで。

「あ、患者さんの検査では3D画像は作らないですよ。時間かかりますからね。」といってしまった。

そしたら、すごく寂しそうな顔をして、

「あっそう、ありがとね」

といってその患者は去っていった。

うーん。どうやら、外来にはってあるポスターに

「3DCT!!」みたいにでかでかと宣伝されてるから、みんな3D画像で診断されているのだと思われてしまうようだ。

3D画像は作っても診療報酬が我々の地域ではつかないのだ。だから、本当に必要な症例
でしかどこの病院も作らないのです。

ちなみに私の病院で3D画像を作るのは手術をする予定になった症例だけである。

なので、1割にも満たないと言うことをここに告白しておこうと思いここに書いてみた。

2015年8月22日土曜日

胃のバリウム検査にも良し悪しはあるのだが。。

胃のバリウム検査で先日事故があったのは記憶に新しいですが、

今日、旧知の友人とその話題になった。

胃のバリウム検査というと、こちらのブログでも何度か紹介しているように、

バリウムという造影剤を、胃の内側の粘膜に付着させ、

そこを撮影すると胃の粘膜の画像が撮影でき、粘膜にできたがんなどが描出できるという検査ですね。

バリウムを付着させるために、体を仰向けにしたりうつ伏せにしたりと何度もする必要があり、

また、立った状態やうつ伏せの状態や、仰向けの状態で撮影することで胃全体の粘膜をもれなく
撮影していく必要もあります。

ですから、普通は十数枚の写真を撮影するというような説明をしました。

しかし、最近はこの不況もあってか、撮影がこざっぱりしているらしい。

私の病院の検診では、最初にバリウムを少し飲んで、

うつ伏せで胃のおなか側の粘膜の写真をとり、その後、再びベッドを起こして立った状態でバリウムを飲んでいただく。

その飲んでる瞬間に、食道の撮影をしてその後、バリウムでいっぱいになった胃の充満画像というのを撮影します。

その後は、再びベッドを立てたり、寝かせたりして色々と撮影する。


しかし、どうやら最近はそんなに丁寧に撮影していない検診業者もあるらしいのだ。


というのも、一日に40件近い胃の検査をしなければならない過酷な労働条件の施設があるらしい。

だから、一つの検査にそんなに時間をかけることができず、
食道は撮影しないとか、充満像もカットなどして7枚くらいしか撮影していないような施設もあるようだ。

色々と考えて省略しているのだとは思うが、これで早期胃がんがしっかり撮影できるのかと思う部分もある。

できれば標準撮影法で撮影したいと思う技師さんもいるんだと思う。

そのような過酷な状況下での撮影、そして先日の事故。

撮影する側だけを避難するのも・・・

なんとも言えない話だ。


2015年8月21日金曜日

ポータブル激突!破損!! 安全運転を心掛けよう。

病棟でレントゲン撮影を受けたことがある方は少ないと思いますが、

レントゲンは入院ベッドの上で撮影ができます。

この時に持っていくのが、レントゲンのフィルムとポータブル撮影装置。

このポータブル撮影装置というのは、移動型のエックス線発生装置です。

日立製作所HPより転載


この装置は100キロぐらいの重さがあるのだが電動なのですいすい動きます。

病院の中なので、あんまりすいすい行ってしまうのも問題なのだが、

今日、うちの後輩がすいすいいって、そのままICUの自動ドアに激突し、ぶっ壊してしまったそうな。

ICUの自動ドアというのは、人感センサーみたいなので開く方式になっている。

その人感センサーの反応が1テンポ遅いのだ。

私も一瞬「あれっ」と思ったことがあった。

そいうことでそれでついつい突っ込んでしまったらしい。

そんなに焦らなくていいのに。。。。。

修理いくらかかるんだろうなー。

あいつ、しばらく上を向いて歩けんな!

2015年8月20日木曜日

造影剤は絶対必要か? パート4 血管造影

造影検査で一般的なのはバリウムですが、血管の造影検査というのはご存知でしょうか?

レントゲンでは血管を写すことはできませんから、血管の中に造影剤をいれて写真と取る方法です。

心臓カテーテルとかが有名でしょう。

心臓カテーテルは、腕の動脈や足の付け根の動脈からカテーテルと呼ばれるチューブを心臓まで入れていき、
そこから造影剤を心臓の血管に流しているところをレントゲン撮影する検査です。


血管の中にチューブをいれますので、バイキンが入らないように清潔な部屋でやる検査です。

血管造影室というところでやることが多いでしょう。

この時の造影剤はヨウド造影剤です。ややネバネバした、無色透明の液体です。

心臓にカテーテルを直接入れるため、簡単と表現される先生もいますが危険もある検査でしょう。

医師がカテーテルの操作を行います。


わかりやすい動画があったので貼っておきましょう。



2015年8月19日水曜日

造影剤は絶対必要か? パート3 注腸検査

今日は大腸の検査の話です。

これもバリウムを使います。

大腸がんは、大腸の粘膜にできます。

胃の時と同じように病院では内視鏡をおしりから入れて腸の粘膜をみます。

ということで、胃のバリウムと同じように腸もバリウムで撮影することがあります。

これが注腸検査という検査です。

バリウムはおしりから注ぎます。
おしりから造影剤を入れる時は、チューブから入れます。

下の写真のようなチューブを入れます。

チューブの先端に風船が2個ついています。

バリウムがおしりから逆流してこないように、おしりの穴のところにこの風船を引っ掛ける形で蓋をする感じです。


三管分離逆止弁付直腸カテーテル(Yチューブ)

さて、ここから造影剤を入れていきます。

胃の撮影と同じように、腸も膨らます必要があります。
ですから、空気もチューブから入れていきます。

大腸は長さがあるので、バリウムをおしりから入れても大腸全体にはまわりません。

患者さんには体を動かしてもらって、バリウムが大腸全体にくっつくようにします。

とれる画像はこのような画像です。

http://www.ujitoku.or.jp/medical/department/img/radiology/img29.jpgより転載

普通のレントゲンでは下の画像のように、大腸の中の空気が少し
映るていどですから、造影剤は絶対に必要な検査ということになりますね。



最近は大腸CTといって、おしりから造影剤の変わりに空気をいれてCT撮影する検査が普及してきています。

次回は血管の造影検査を紹介します。

2015年8月18日火曜日

造影剤は絶対必要か? パート2 バリウム検査

胃のレントゲン検診

この時は必ずバリウムを飲みますね。

このバリウムは造影剤の一種。

レントゲンをよく吸収しますので、よく写ってくれます。


胃の検診で見ているのは胃がんです。

胃がんは多くが胃の粘膜にできます。

胃の粘膜と言うのは、胃の内側のことです。
だから、病院では内視鏡を口からいれて、胃の粘膜を見ているわけです。

胃の粘膜はどのようになっているのでしょうか。

これが胃の粘膜です。


この写真をみて、胃に凸凹がないかとか赤くなってないかとかを見ます。

がんはこんな感じに見えます。

*gooヘルスケアより転載

ころっとしてるのがよくわかりますね。


では、レントゲンでこのような画像を撮影できるのでしょうか?

まずレントゲン写真を見てみましょう。

これは造影剤を使っていない腹部レントゲン写真ですが、
胃はどこにあるのやら・・・




この画像から、上の内視鏡画像のような画像を想像できるでしょうか?

絶対にできませんね。

ですから、造影剤を使います。

下の写真は造影剤すなわちバリウムを飲んで撮影した画像です。

先ほどのレントゲン写真と違って胃だけが拡大されて写っていますが、レントゲン撮影です。

違いは、造影剤を使用しているということと
発泡剤という炭酸みたいなものを飲んで胃を膨らましていることの2点です。


このように、胃の中にバリウムをいれて胃の粘膜にバリウムをくつけることによって、
胃の粘膜を描出し、胃がんを見つけていくというのがこの胃のバリウム検査です。

この時、バリウムが多すぎるとバリウムばっかり写ってしまって粘膜がうまく映らないので、
体を斜めに向けたり寝かせたりしてバリウムを移動させて粘膜の撮影をしています。




内視鏡検査と比べると、

直接に粘膜を見ているわけではありませんのでわかりにくい検査ではあります。


しかし、このわかりにくいのをわかりやすく撮影するのが技師の腕の見せ所です。

実際、この胃の集団検診が日本の胃がん死亡率減少に貢献してきました。


今回はバリウムの使用例について紹介しました。

この検査は造影剤が絶対に必要な検査ですね。


この他に大腸がんのバリウム検査というのもあります。注腸検査と言います。

「注ぐ腸」というところからして、だいたい想像できますね。

次回は注腸検査を紹介しましょう。


2015年8月17日月曜日

造影剤は絶対必要か? パート1

今日は造影剤のことについて聞かれたので。


レントゲン検査の時には、造影剤というのを利用して検査することもあります。

造影剤というのは、

「影」を

「造る」 

剤(調合した薬の意)

ということです。


影というのは、レントゲンに写った画像のことです。

レントゲンは影絵と一緒です。太陽光と影の関係と同じです。

太陽光がX線に置き換わったという判断でよいでしょう。


さて、窓ガラスに光を当てると影を造るでしょうか?
ガラスは光を透過するため、影をつくりませんね。

レントゲンでもこのように影を造ることができない臓器があります。

それが、血管や胃などの臓器です。

そのために、造影剤という人工的に影をつくるためのお薬を使用して、影をつけてあげます。


影をつけるためには、X線をよく吸収する物質を使用しています。

血管を撮影する時はヨウドを使ったものを利用します。

胃の時は、バリウムというのを利用します。


それぞれ、X線を吸収する物質です。

これらを注射したり、飲んだりして体の中に入れてあげて撮影すると、
その臓器の写真がとれるわけです。

ということで、血管撮影の時に造影剤は必要か?というと

絶対必要です。だってうつりませんから。ということになります。

同じく胃のレントゲンではどうか?というと
絶対必要です。うつりませんから。

ということになります。

次回は造影剤が映し出す画像について見て行きましょう。




2015年8月16日日曜日

世界のCT保有台数

CTの保有台数は、日本が世界一らしい。

じつにその3分の1が日本に設置されているそうだ。

何年か前に、日本の被曝量が多いという論文が出てその時に話題になった話です。

今日、画像診断ガイドラインをペラペラとめくっていたら、そのCT装置台数の話題が書いてあった。

CT保有台数は、やはり世界一だそうだ。

人口100万人あたり、97.4台で、諸外国の5倍あるらしい。

ということで、これが総被曝量を押し上げているのが間違いなさそうだ。

「無駄な検査がおおいのでは?」
という疑問を持つ部分もあるだろう、

しかし、その点に関しては1000人あたりの平均検査件数というのもあって17カ国中6位だそうだ。

CTの活用頻度は15カ国中最下位らしい。

私の病院や友人の病院などはCT室は忙しいけれど、全体的にみると割と使われていないんだなーとかんじました。

無駄な検査というのもそれほどないようには感じていたのが、

装置がいっぱいあるような現況であっても平均検査数が多いわけではないところをみると、

やはり医療倫理に則した装置利用がされていることがわかる。

MRIの台数も世界的に見て多いようですが、

平均検査数は4位、活用頻度もCTと同様にそれほど高くないようなのでMRIも同様だろう。


しかし、うちのMRIは忙しいんだよな〜。



2015年8月15日土曜日

MRI検査待ち時間の実態


昨日、MRIで待っていた患者さんが切れた。

半年に一度くらいだろうか、このように患者さんが切れることがある。

こんな時は、課長の出番だ。

課長に患者さんの言い分を聞いてもらって、私たちはひたすら撮影をする。
頑張れ課長!

さて、クレームというのは予約時間に撮影してくれないというもの。

私も患者なら、予約通りにいかなければ同じように腹を立てることだろう。
まあ、切れることはないと思うが。

この時も、忙しくて。時間が押していたそうだ。

基本的にMRIは忙しい。
なぜMRIが忙しいのかというと、時間がかかるからだろう。

なんだかんだと1件に30分くらいかかる。レントゲンは5分とすると、約6倍も時間がかかるのだ。
だから、予約もとりにくい。1か月まちとかの病院もあるのだ。

そのくせ装置の値段も高い。

私たちが務めるような町でそこそこの病院は、1億とか2億とかのMRIを整備する。
だから、そこそこの検査数をやらないと病院が赤字になる。

赤字がつづけば、病院もつぶれます。
職員は別の病院にでも転職すればよいが、患者はたまったものではないですね。
特に地域に住んでる高齢者はこまるわけですね。

だから、病院も予約枠を目いっぱい設定します。
私の友人のところは、30分では絶対に検査が終わらないのに30分の検査枠で予約を入れているそうですから。

そのような「きつきつ」の予約状況の中に、さらに「緊急」というのが入る。
MRIでないとわからない病気というのがあって、MRIの結果で治療方針というのが変わるらしいのだ。

脳関係の病気だと、麻痺が残ったらその方のその後にはかなりの影響もある。
だから、緊急でMRIをとることも少なくないのだ。

で、そうするとどうなるか。

予約時間がずれ込む。

午前中にMRIの緊急が2件入ると、1時間遅れます。
これで、技師の昼休みが消えます。

また、遅刻も結構な頻度でおこる。
一人遅刻すると、その分遅れます。その遅れは、後々まで響きます。
その対応の為に30分前に来いと予約票に書いてある病院もあります。

これで結局30分余計に待つ必要がでてきます。たまに、早くやってもらえることもありますが。

まとめると、その患者さんは

検査の30分も前にきたにもかかわらず検査が緊急検査で遅れているといわれ、

さらに自分の予約時間になったところで別の緊急検査が入り、

トータル2時間待たされたということなのだ。

医療は公正・公平ですので、ファーストパスチケットとか販売するわけにもいきません。

MRI検査の時はみなさん覚悟していきましょう。

携帯用DVDプレーヤーとかあってもよいかもしれません。

2015年8月14日金曜日

アナログ時代の放射線技師「心カテ大失敗」

心臓カテーテル検査というのはみなさんご存知ですか?

この検査は心臓の血管に造影剤を流して撮影する検査です。
心臓の血管を撮影するのでシャッターを速く切らなければ撮影できないため、シネフィルムを使って撮影していいました。(今では当然フィルムは使ってない)

このシネフィルムというのは、アナログフィルム。

フィルムには長さがあるが、その長さまでしか撮影できない。

だから、検査の途中でフィルムを交換しなければならなかった。

私の友人は、シンカテ歴がまだ浅かったころに大失態してしまった。

フィルムの交換は、あらかじめ用意しておいた交換用カートリッジみたいなものを付け替える作業だ。

フィルムが光で感光しないようカートリッジの中にフィルムが入っている。



友人はその交換用カートリッジを持って、検査室内で交換を始めた。

フィルムカートリッジは、機械のカメラ部分の少し上あたりについていて、やや背伸びしながら外す作業となる。慣れないとちょっとやりにくい。


この時のことだった、友人は手を滑らせて撮影済みのカートリッジを落としてしまったのだ。

「ぱっかーん!」カートリッジが床に落ちる音


そして、カートリッジのふたが・・・


空いた。


「おい、これ、感光しとるんか!」と循環器医師。



その日以来、友人はしばらくカテ室には入れなくなったらしい。


アナログ時代は、この感光させてフィルム真っ黒にさせる失敗というのが割とありました。



いや~ほんとデジタルは素晴らしい。


いい時代になったと、血管造影検査研修2日目にふと思いだした。

2015年8月13日木曜日

CT画像は薄いほど良いのか?

CT検査は、輪切りです。

この輪切りには、いくつか種類があります。

横切り、縦切り、輪切りの3方向、斜めにも切ることができます。

基本は輪切で横断像と呼んでいます。アキシャルビューともいいます。

小さな病気を見たい時には、輪切りの厚みというのも薄くする必要があります。

病気よりも厚みのある輪切り画像を撮影したら、病気がわからなくなってしまいます。

ですから、できるだけ薄切りしたいというのが、人情というところ。

では常に薄切りが一番いいのか?

今一般的になったマルチスライスCT装置は大体1㎜位で撮影しています。

ですから、ほとんどが薄切り画像です。

しかし、私の病院では通常は1センチから5ミリくらいの厚みの輪切り画像で病気を診断しているケースがほとんどです。


さてこれはどういうことか?

頭部のCT検査では、この写真の赤点線でしめした部分の輪郭が明瞭に見えるか見えないかということを観察する必要があります。



さて、この輪郭は1㎜の厚みの画像と5㎜の厚みの画像で比べるとどちらが見やすいでしょう?

厚さ1mmの画像

厚さ5㎜の画像


5㎜の画像の方が輪郭を追いやすいですね。

これは、画像のなかに含まれるイレギュラーな信号が原因とされています。

1mmの画像ではノイズと呼ばれるそのイレギュラーな信号の割合が高くなってしまうため、このように画像がざらざらしてしまうのです。

このざらつきを抑えるために、ある程度の厚みのある画像を作成しています。

ということで、病気によって適正な画像の厚みを選ぶ必要があるということを今日はご紹介しました。


2015年8月12日水曜日

IT革命とデジタルレントゲンと放射線被ばくの関係(デジタル化は有効だった?)

IT革命という言葉はご存知でしょうか? 15年くらい前にかなり流行った言葉です。

あのIT革命の時代にわれわれ放射線業界もIT革命されました。
いやほんと今思えば、すさまじかった。

いまや主婦も子供も学生もスマホを持つなんて、あのころは考えられませんでしたからね。

今みたいな状況のことをユビキタス社会なんて当時は言ってましたけど、ほぼそのような形になっていますね。

家でもどこでもエッチな画像が見れる。私にとっては夢のような世界になりました。

おっと失礼しました。

さて、放射線のIT化というと世間でも最初のIT(デジタル化?)の走りとなったのはデジカメではないでしょうか?

カメラがフィルムからSDカードになって、フィルムカメラの頃はフィルムを日光にあてると真っ黒になってしまいましたが、そんな失敗をすることもなくなりました。

デジカメも最初の頃はSDカードではなくて、スマートメディアとかコンパクトフラッシュとかメモリースティックとかいろいろ分かれていましたね。
大体16メガから32メガくらいの容量だったのが懐かしいです。

しかも値段も1万円くらいしたような。。。

今では64ギガのマイクロSDカードとかが普通になりつつあるのにはびっくりです。

話がそれました。

放射線業界もデジタル化があったのですが、実はCTやMRIというのは最初からデジタル化された技術でした。

なので、私たちの業界で最大のIT化はデジタルレントゲン(CR)が設置されたことでしょう。

このCRというのはレントゲンがデジカメになったような感じです。

デジカメは、モデルからの光を電気信号に変換し、それをSDカードなどに保存していますね。

レントゲンのデジタル化も同じように、エックス線を光に変えてそのあと電気信号に変えるということでデジタル化されました。

このデジタル化のメリットは何か・・・

過露出がなくなったのが一番よかったことかもしれません。

レントゲンでは、エックス線の量をいっぱいかけるとフィルムが黒くなります。これは、フィルムを光に当てておくと真っ黒になってしまうのと同じですね。

真っ黒にしないようにするには、適切な量のX線を照射しなくてはいけませんでした。

これを条件設定と呼んでいましたが、この条件設定はなにげに経験がものを言うところでした。

というのも患者さんの体の大きさによって、エックス線を出す出力を変化させる必要があったからです。

体の大きい患者さんは多めにX線を出す必要があります。そうしないと画像が真っ白になってしまうのです。

逆に体の小さい患者さんは少なめにします。そうしないと画像が真っ黒になってしまいます。

このさじ加減が結構難しくて、経験がたよりでした。
私もよく過露光の写真や真白い写真を撮影してしまったことがありました。

でも、いまのデジタルレントゲンではフォトショップばりに後から画像を薄くすることができます。
ですので、ほとんどこの条件設定では失敗することがなくなりました。

しかし、薄い画像を濃くするのがどうしてもうまくいきません。

これは、デジカメで夜撮影したときに画像がざらついてしまうのと同じです。

明るくできるのですが、画像がざらざらになる。

ということで、デジタル化されてから多くの技師はレントゲンをちょっと多めにかけていた時代が数年ほどありました。

しかし、最近の装置はレントゲンを検出する感度がとっても上がったので昔のX線量の3分の1くらいでも十分に綺麗な画像が得られるようになりました。

これは富士フィルムさんやコニカミノルタさんの努力の結果です。


ですから、いまは昔に比べるとレントゲンによる被ばくは減ったと思われます。

IT化と被ばく量には、密接な関係があったのでした。

2015年8月11日火曜日

久しぶりのモダリティはしんどい(血管撮影について)

今日は血管造影の検査についた。なんと数年ぶり。

めったにいかないので、血管造影室の皆さんに温かく迎えてもらった。

血管造影検査とは

「血管」に
「影」を
「造」る

撮影方法です。

具体的には、

足付け根か、腕の動脈血管にカテーテルと呼ばれる細くて長いストローみたいなものを入れていきます。

そして、病気があると思われる血管までそのストローを押し込んでいきます。


そして、そこで造影剤というレントゲンに写りやすい薬剤をいれると、、

そのストローの先の血管に造影剤が入り、そこをすかさずレントゲン撮影すると血管の写真が撮れるというものです。

この時に、私たち診療放射線技師は何をするかというと、撮影を担当します。

主演は医師、血管の中に黴菌が入らないように滅菌手袋、術衣をきて腕や足の付け根に注射をし、そのあとカテーテルをずんずんと目的の血管まで進めていきます。

助演はナース。

医師の作業の助っ人です。カテーテルを出したり、生理食塩水を供給したり、患者さんが苦しがっていないかなどを記録します。血圧なども測定しています。


大道具? 放射線技師?

医師が作業を進めやすくするために、レントゲン確認画像を表示さたりします。

目的の血管にカテーテルが到着したら、本番の撮影業務です。

造影剤を何cc入れるかなどを設定して、撮影を行います。

「息を吸って、止めてください」「頭は動かさないでくださいね」などと声をかけます。

そして撮影します。

検査が終わった後は、画像処理をします。

血管の画像が見やすくなるように、修正をかけたりします。

以上が血管造影室勤務の技師の仕事です。

久しぶりの血管撮影室(通称:カテ室)

実は何年か前に装置は新型となり、昔は血管撮影しかできなかったのが3D撮影もできるようになっていたり、CTみたいな画像が撮影できるようになっていたりと高度化していました。

できることが増えているので、ちょっと大変でしたが昔のように診断できないような画像になってしまうようなことはほとんどなくなりました。技術革新に驚きです。

とにかく動きに強くなったようです。昔は、患者さんが動いてしまうと全然だめでしたからね。



来週も研修あり。早く覚えられように努力しなければ。